宇宙の話 3 太陽系の未来

Ⅳ 太陽系の未来

 太陽系の成り立ち

・推測年齢は約46億年で、中心部に存在する水素の50%程度を熱核融合で使用し、主系列星として存在できる期間の半分を経過しているものと考えられている。

 

・宇宙ができて約136億年、天の川銀河ができて約100億年、そして太陽ができて約46億年という時間経過である。

アメリカの惑星観測衛星や、各国の衛星そして、特殊コンピューターのシミュレーション技術のおかげで太陽系の成り立ちが、ほぼ解明されてきた。

・星間ガス(分子雲)のなかで原始太陽は生成した。 収縮を始めると、分子雲は回転を始め、徐々に重力の中心に集まり、原子太陽へと成長する。 太陽は太陽系質量の99.86%を占めている。

・太陽系の元素構成から、超新星爆発の残骸が太陽系生成の原料になったと推測される。

・太陽系惑星は、水星・金星・地球・火星が岩石惑星、木星土星がガス惑星、天王星海王星が氷惑星。この8個が現在の惑星である。

はやぶさ1号・2号が地球近傍を周回する小惑星イトカワ」「リュウグウ」のサンプルを持ち帰ることで、明確に判るようになるかもしれない。

 

惑星Xの存在

・ 冥王星が惑星から除外されたが、太陽系外縁天体は「エッジワース・カイパーベルト天体」と呼ばれる。太陽から50天文単位(1天文単位は太陽と地球の距離で1億5000万K)以上離れたあたりで急に小天体もなくなり、楕円軌道や公転面をはずれて回るものが多くなる。 今までは、これらの天体が太陽系外からきたものと考えられていたが、惑星Xが存在すると仮定して、シミュレーションを行い、その存在の可能性が示された。 質量は地球の30%~70%で、ほぼ地球と同じ大きさ。 太陽を1000年から2300年で回り、100~200天文単位のところにあると予想されている。

 

隕石の原因

・ 地球は太陽の周りを1年かけて回っている。 それは秒速約32Km進むことになり、宇宙に漂うさまざまなものと追突している。 毎日地球外からの破片が1000トンほど、大気の上部にぶつかり、大気で燃え尽きてしまう。 大半は非常に小さな物で、暗い夜なら流星として見える場合もある。 しかし、何百万年単位の長い期間でみれば、大気中で燃え尽きず、地表に落下するものがある。 それが、隕石だ。 彗星の残骸と思われている。

 

彗星

・ 有名なハレー彗星は76年の周期で太陽を焦点にした長楕円で周回している。 人間の一生と同じぐらいの周期であり、最近では1985-1986に太陽に近づいた。 次回は2061-2年頃である。600個ほどの彗星は、軌道が判っているが、太陽にかなり近づかないと軌道が判明しない。 素人天文家がいち早く発見し、発見者の名前が付けられる。

・ 彗星が地球に追突する可能性は、地球の周回軌道から計算すると20億分の1で、太陽に近づく時と遠ざかる時の2回あり、ひとつの彗星で言えば、10億分の1の確率になる。 彗星の発生源とされるオールトの雲には1000億個の彗星のもとがあり、何千万年、億年の単位で考えれば、歴史上問題となる地球への追突は、何回もあった筈である。 6500万年前の恐竜絶滅は、彗星追突によるものと科学者は考えている。 2億5000万年前の二畳紀の終わりには、当時の生命、初期の両生類と爬虫類の96%が絶滅した。 2億8000万年-3億年前の地層から、彗星が地球に落下したときにできるテクタイトが多数見つかっている。地球に生命が誕生して、7億5000万年。 その間5回の生命絶滅の危機が到来した。 その全てが大型の彗星追突であることは証明されていないが、かなり近い時期の地層には、彗星の追突によってできるテクタイトが見つかっている。

・ 巨大彗星追突による問題は、大量のちりが大気中に舞い上がり、太陽の光を長期間遮断することで気温の急激な低下を起こす事にある。 大氷河期を迎え、生命の大量絶滅につながる。

・ 2029年に、地球の軌道に入るアテン群地球近傍惑星(アポフィス;直径380m・質量7.5x1010Kg)が2004年に発見された。 しかし、2029年の地球接近では、地球に追突する確率は450分の1とされている。 人口衛星と追突し、起動が変更される可能性も指摘されている。 その後も2035-37にも地球に接近する。 仮に地球に追突した場合、TNT火薬880メガトン、数千平方キロに大被害がでるが、氷河期や大量絶滅には至らないと予想されている。

 

オールトの雲

・ 太陽から地球までの距離の5万倍離れ、一番近い恒星までの距離の4分の1の距離に、約1000億個の、氷の塊の集団がオールトの雲と呼ばれている。 オールトの雲が彗星の発生源であり、太陽から遠く離れて、ゆっくりと回っている。 何かによってその軌道が乱れると、太陽に向かって落下してくる。それが彗星だと考えられている。

 

太陽黒点

・ 太陽の活動を外部に知らせている黒点は平均11年周期(8年から15年)で増減する。 黒点が多数発見される時は、太陽が活発に活動している。17世紀ごろは太陽の活動が活発でなく、ヨーロッパで、テームズ川が凍りついた記録がある。 この時は、太陽の活動が活発でない時期で、太陽エネルギーが少なく、地球全体が小氷河期になった。 太陽が活発化すると、宇宙線が増加し、炭素14(炭素12が正常)が増加する。 木の年輪には、炭素が保持されるので炭素14と炭素12の比率を調べることで、過去の太陽の活動状況が推定される。 紀元前6000年前までさかのぼることができる。 それによると、紀元前2000年ころは少なく、11世紀にピークを迎え、20世紀初めまで下がり続けている。 最近は化石燃料の大量消費で、炭素14が増えているが、太陽活動の記録を反映しているとは、言えない。 太陽活動の長い周期では350年説があり、それによれば2030年ごろには太陽活動が低下し、小氷河期を迎える可能性がある。

 

太陽の活動

・ 太陽の重さは中心部に強烈な圧力を生じる。 地球の大気圧の2000億倍になり、太陽が崩壊せずに残っているのは、中心のガスが1500万度と高く、押し戻しているからである。 1500万度では、陽子をくっつけて核融合するのに、十分な温度であり、太陽のエネルギーは、この核融合によるものである。 太陽の中心部では、毎秒500万トンの陽子が消費され続けているが、まだ50億年ほどの燃料がある。

 

太陽系の未来

太陽は、まだ燃料となる陽子がのこっており、後63憶年ぐらいは太陽としての役割は果たすと言われている。 太陽活動の周期350年、2030年ごろに活動が低下して、小氷河期を迎える可能性があり、 これを予測して、地球の温暖化を心配しなくても良いという科学者もいる。

地球近傍を通る彗星や小惑星のなかで、大きな物体は計算されており、地球との衝突はいまのところ予測されていない。 恐竜が絶滅した約6500万年前に地球と衝突した物体は直径10Kmぐらいのものだと、推測されている。 このぐらいの大きさの隕石であれば、歴史で見れば億年単位で地球に当たるだろうし、全ての生命の生存が危ぶまれることもあろうが、現在では観測可能である。 問題は観測ができないほど小さい場合の被害の大きさが、生命に及ぼす影響である。