宇宙の話(2) 天の川銀河の未来

Ⅲ 天の川銀河の未来

  • 構成

 

・ 1958年にヤン・オールト電波望遠鏡を使用し、銀河の概要をあらわした。2006年にはさらに詳細に調べられ、棒状渦巻き銀河であることがわかった。 天の川銀河(単に銀河という場合もある)の中心には、超巨大な質量を持つブラックホール(いて座A)がある。

・ 天の川銀河の大きさは直径10万光年、厚さは太陽付近で2000光年の棒状渦巻き型銀河である。

  • 天の川銀河は約2000-4000億個の恒星でなっている。そのまわりにはハローと呼ばれる塵のような塊があるが、およそ100億年前に銀河同士が追突した痕跡とされている。
  • 16万光年先には大マゼラン雲、20万光年先には小マゼラン雲を伴っている。最も近い銀河としてアンドロメダ銀河が230万光年先にある。アンドロメダ銀河とは近づいており(約122Km/秒)、約45億年後に斜めから追突し、60億年後にはひとつの銀河となると予測された。(2019年天体観測衛星ガイアの観測による)
  • 又、我々の太陽系は天の川銀河にあり、2000個ぐらいの銀河が集まったおとめ座銀河団と呼ばれる集団にある。 そして2014年に、およそ10万の銀河集団ラニアケア超銀河団(範囲が5億光年)に所属している事が分かった。 その中心にあるグレート・アトラクターの引力にひかれて動いている。 おとめ座銀河団の中心に向かって、1600Km/秒の高速で動いているのだが、あまりに距離が離れているため億年単位の話である。
  • アンドロメダ銀河と追突しても、星同士の間隔はすごく空いているので、星と星が追突する確率は少ないらしい。 しかし、地球にとっては問題の多い隕石の発生には大きな影響が考えられる。
  • 太陽は銀河の中心部から離れたところを約2億年で周回している(約210-240Km/秒のスピード)が、太陽以外の恒星も、ほぼ同じ速度で周回している。 ケプラーの法則に従えば、中心から遠く離れた惑星は、周回速度が遅く、中心に近い水星、金星の速度が速い。 しかし、銀河では、中心部も外縁部も移動速度は変わらない。 原因として、目に見えない未知の重力源があるとかんがえられている。 これをダークマターと呼ぶ。 これ以外にも、何もない空間に存在するダークエネルギーの存在が、考えられている。 宇宙に存在する全体の質量を計算すると、恒星や銀河など原子として目に見えているものは、5%ぐらいで、ダークマター23%、残りはダークエネルギーと考えられている。 ダークマターの有力な候補は未知の素粒子で、ダークエネルギーが質量を生み出すもととなる、と考えられている。宇宙には、目にみえない、観測できない未知の何かで満ちあふれている。

 

  • 渦状腕

 

  • 太陽は銀河の中を約2億年(2憶2500万年から2億5000万年)かけて1周している。 現在は太陽の周囲には何もないが、周期的に渦状腕を通過する。 渦状腕は新たな恒星が生まれるような、高密度の塵の雲である。 この塵の雲を通過するには、1000万年かかるが、この期間は塵が太陽系に入り込み、光の量を加減し、多数の彗星を発生させる。 次に渦状腕と出会うのははるか先のことではあるが(1200万年後?)、自然が太陽の光をさえぎる時がいつかは来る。 太陽系ができて50億年、太陽は50回程度塵の多く存在する渦状腕の中を通過した。 1億年に1回程度である。 大氷河期と渦状腕の通過時期が一致している事が指摘されている。 1000万年の長期にわたり、太陽からの光を遮った可能性もある。 又、太陽系外縁にあるカイパーベルトに刺激が与えられ、彗星として地球に落下した可能性もある。
     
    事実、月の岩石の分析から、同じ間隔で隕石の数がピークになっており、この渦状腕の中を通過期間と考えられている。 当然月に多数の隕石があれば、地球にも同じように隕石があった筈である。

 

  • 星の寿命

 

  • 星の寿命は星の重量に依ります。 質量が大きいほど早く燃え尽き、軽いほどゆっくり燃え尽きる感じです。 星の質量を太陽の何倍か、と寿命を書くと、こんな感じです。

100倍  270万年

50倍  590万年

10倍  2,600万年

      5倍  1億年

      1倍  100億年(太陽の寿命)

           0.5倍   1,100億年

・ 主系列に「明るいから暗い」に並ぶ星は、水素の核融合が生じている星ですが、水素の各融合がほぼ終わると、内殻の収縮と外層の膨張が起こります。 これが明るい星:赤色巨星で、残り短くなった星です。 一方、太陽より重い星では、水素の核融合が終わっても、より重い元素への核融合が起こります。 これが暗い星:白色矮星です。 星としての寿命は早くおわりますが、中心核での核融合は長く続き、最後は輝かない星、中性子星ブラックホールになります。

 

  1. 近傍の星
  • 太陽に最も近い星はケンタウルス座のプロキシマで4.2光年、同じくケンタウルス座のα星が4.4光年、赤色矮星で明るくはないが、バーナード星6.0光年と続く。 明るく輝くおおいぬ座シリウスで、8.6光年と離れている。
  • 近傍の星として16.2光年以内の星は65個ありますが、今も輝いている星はたったの9個で残りは矮星(赤色・褐色・白色)で、太陽から近くても、肉眼では見えません。 天の川銀河ができたのは、約100億年まえと言われていますから、すでにかなりの星が寿命を迎えたのか、とても小さな星が生き残っている状況です。

それでも、天の川銀河には2000~4000億個の星があります。

 

天の川銀河は、約45億年後にアンドロイド銀河と追突し、更にラニアニア超銀河団の中心グレート・アトラクターの方向に向かっている。 500億年から1000億年後には、天の川銀河はより大きな銀河の中心 ブラックホールに飲み込まれるだろう。

 

閑話休題

  • ここまでの話のなかで、一番近い星までの距離を4.2光年とか、銀河の大きさは10万光年とか、「光年」という単位で話をしている。 光年とは、光が一年間に進む距離。光は1秒間に地球を7回半回るスピードで「光速30万キロ」である。 これが1年間進む距離だから、約9兆4600億キロの事です。
  • そんな遠くの距離をどうやって測るのだろうか。 実際の距離測定は、天体の種類や特徴に合わせて、距離を導き出している。 それを「宇宙の距離はしご」と呼ばれている。
  • 近い天体の月には反射鏡が置かれているので、地球からのレーザー光線の反射時間から正確な距離が求められている。 その結果月は平均1年で3.8cm遠ざかっています。 1000年前に比べれば、約38m遠くなった。 地球と月までの距離は38万4千キロ。 それからいうと、何も変わっていないけど。
  • 太陽や他の惑星までの距離は、ケプラーの第三法則、「惑星の公転周期の2乗は、楕円軌道の長半径の3乗に比例」から、導き出されています。
  • 近くの星は、「年周視差」で求めています。 人が距離を感じることが出来るのは両目で見るからです。 これと同じように、例えば3月に観測して、6か月後の9月に観測して、その角度差から距離を求めます。 両眼の離れた距離の代わりに、地球の周回軌道を使うというスケールの大きい話です。 人工衛星の望遠鏡のおかげで、今では3万光年まで測定できるそうです。
  • 周期的に星の半径が大きく変わり、明るさが変わる「セファイド変光星」と呼ばれる星がある。 明るさと周期に関連のある事が、年周視差で距離の判る星から分かるようになった。 絶対的な明るさが分かれば、地球から観測される明るさから、距離が推測される。明るさは距離の二乗に反比例する。
  • 近傍の銀河では、銀河の中にある「セファイド変光星」の観測から、銀河までの距離を推測できるようになった。「セファイド変光星」だけでなく、「ミラ型変光星」もある。
  • それよりも遠くの星は、ハップルの観測した「後退速度」でわかったスペクトルのずれから、もとめられている。2014年に観測された最も遠い銀河は、赤外線の領域で観測してみつかった。約128億光年だそうであるが、その光がでたのは128億年前という事になる。