宇宙の話 5 地球の未来(2)

地球の未来(2)

太陽フレアの影響

  • 太陽フレアというのは、太陽で起こる爆発現象のことで、爆発後8分で電磁波が届き電波障害を起こす。そして、数時間後には放射線が到達し、数日後にはコロナからの質量放出が地球に届き、誘導電流が送電線に混入、電力系統をおかしくする。 前回の強力な太陽フレアは約150年前に地球に到達していたものの、当時は電気がまだあまり普及していなかったこともあり、被害は少なかった。
  • 1859年に地球を襲った強力な太陽フレアは、世界中の電話網を破壊したと言われている。 ハワイやカリブ海沿岸など世界中でオーロラが観測され、夜にもかかわらずその明るさから、人々は朝と勘違いして起きてしまったとも伝えられている。
  • 科学者たちは今後10年の間で起こる可能性は12%と予測、今後100年間にはまず確実に起こるだろうとしている。

 

地磁気の逆転

  • 地球を包む地磁気は、常に太陽から降り注ぐ放射線から私たちを守っている。地球の46億年の歴史の中で、地磁気の向きは何度も逆転し、北磁極と南磁極が入れ替わってきた。
  • 地磁気が生じるのは、地下2900kmほどの深さにある地球の外核で、液体の鉄とニッケルが流動するためだ。地磁気の向きは、小さな方位磁針がそのまま凍りつくように、堆積岩や火山岩ができる際、それらに含まれる鉄分の多い鉱物によって記録される。
  • これまでの調査で、磁極の逆転現象は過去2000万年の間に、約20万年から30万年に1回のサイクルで発生していたことが確認されている。しかし、非常に恐ろしいことに、最後に発生したのが80万年近くも前のことなのだ。
  • 磁極の逆転が起こった場合、人類を壊滅的な事態が襲うだろう。 世界中のナビゲーションシステムは破壊され、太陽から有害な放射線が降り注ぐ。 地球上のあらゆる生命が危険にさらされることになる。
  • 長い間逆転がなかった時期は大昔にもあり、例えば約1億年前の白亜紀には、4000万年ほど地磁気がほとんど動かなかった。 しかし、地球の磁気はここ数十年で急激に弱まっていることが、科学者らによって確認されている。 ここから予測されるのは、北と南の磁極が入れ替わる「磁極の逆転(ポールシフト)」が近い将来に起こる可能性だ。

 

生命の進化

  • 38億年前には、原始的な生命が地球に生存した痕跡があり、海のなかで最初の生命の進化を続けた。 単細胞生物から多細胞生物まで進化するのに約30億年という長い時間が必要であった。 何回かの生命の危機を海の中で乗り越えた生命は、やっと5億年前に陸生シダ植物が進出し、緑に覆われた地球に変貌した。
  • 植物に続き節足動物無脊椎動物が陸に上がり、4億年前に脊椎動物も陸に進化した。 そして、2億3千万年前に恐竜があらわれたが、6,500万年前の隕石によって、光が長期間遮られ、恐竜が絶滅した。 その後、進化した哺乳類の中から600-700万年前に類人猿から分かれ、人類がアフリカに生まれた。 現在の人間は10万年前にアフリカで生まれ、その後世界各地に移り住んだ単一種である。

 

人口問題

・ 国連によると、西暦元年頃の世界人口は2億5000万人と推計されている。 2倍の5億人になったのが1600年で年平均増加率は僅か0.04%である。 さらに2倍の10億人が1830年。(増加率0.3%) 20億人になったのが1930年。(増加率0.7%) 人口増加は加速的に増え、特に1950年以降は1990年までの平均増加率は1.85%となった。 2008年の推計で66億人。 2020年で80億人。 国連の1992年白書では、2150年までの推計を、高位・中位・低位推計を発表している。 長期推計の中位予想では、2150年116億人との予測である。 高位推定値は250億、低位推計では、2070年頃85億人をピークにとの予測である。 どの予測にしろ、遅かれ早かれ世界の人口は100億人時代に突入する。

・ 人口の急激な増加の要因は、近代医療技術の進歩により、乳幼児の死亡率が著しく改善され、成人の死亡率が低下し、寿命が改善されたことにある。 人口増加は、国、地域によって異なり、先進国(北アメリカ、ヨーロッパ、旧ソ連、日本、オセアニア)は年平均増加率が0.54%に対し、開発途上国(アジア、アフリカ、中南米)は2.0%と高率である。 中国では1978年に人口抑制策「一人っ子政策」が進められ、効果が現れている。 平均増加率1.25%を目標としている。 1994年13億。 それに対し人口抑制政策を失敗したインドでは、増加率2.0%と高い。 パキスタンバングラディシュでは3%以上の高率が続いている。 インドは13億人であるが、中国を抜いて世界一の人口になるのは、目前である。 アフリカでは増加率3%台の国が多く、他の地域の増加率が減少方向にもかかわらず、伸び続けている。 国連の中位予想では、2100年頃には、アジアの人口を抜きアフリカが1位になると予測している。

 

食料問題

・ 1950年の人口1人あたりの穀物生産量は246kであったが、1990年には335kになり、その後はほぼ横ばいである。 其の間の耕地面積は20%弱しか増加しておらず、単位面積あたりの収量増加による。世界の耕地面積は増加しておらず、1ヘクタール当たりの生産量が1950年1.06トン、1990年2.56トンと2倍以上に進歩した。 現在世界で7億ヘクタールの耕地があるが、今後の増加見込みは1億ヘクタールしかない。 FAO(国連食料農業機関)の推計では、2010年人口推計から必要とされる穀物量は25.39億トンであるが、その時の供給可能量は25.26億トンと不足を予測していた。 しかし、実際は26億トン以上の生産で過剰になったが、地域格差が大きい。 特にアフリカなどの不足が大きく、栄養不足が原因で子供の死亡する比率が高い。 相対的には生産量は、わずかではあるが消費量より多い状態であるが、いつまでもつづくものではない。

 

エネルギーの将来

多くの国・地域の経済生活は、化石エネルギーに依存しているが、資源は有限であり、数十年で枯渇の心配がある。 2016年の予測では、石油が46年、天然ガスが63年、石炭が119年、ウランが69年である。 しかし、50年前にも石油は40年後には枯渇すると言われていたが、採掘技術や採油技術の革命的進歩により、いつまでも「後40年」である。 

・ 世界の埋蔵量は270兆~477兆Lと予測されているが、戦略物質であるため、推定値に大きな開きがある。 又、現在の採取量は実際の25%しか採取できていない。 従って、残り75%はまだ利用されていない。 一方で、回収技術の向上が進み、20年後でも「後40年」と言われていると、推定されている。

  • 次世代の石油として、「オイルシェール」、「オイルサンド」が見直される。 オイルシェールは、熱のかかる前の石油(ケロジェン)で、オイルのしみ込んだ砂であり、石油換算埋蔵量は525兆~556兆Lの埋蔵がある。 アメリカ、ブラジル、旧ソ連にある。 
  • オイルサンドは原油成分を含んだ粘土などで、同460兆Lの埋蔵がある。 カナダ、ベネズエラ旧ソ連で世界の8割の鉱床である。 石油の価格があがれば、オイルシェールやオイルサンドの利用がすすみ、あと200年間石油は大丈夫である。 石油価格はオイルシェールやオイルサンドの開発を促進させ、どこかで均衡するはずである。 
  • 水力エネルギー

大規模ダム開発は、自然環境に与える負荷が大きく、又建設負担も大きいことから、政策転換している。欧州や中国では、地域の小規模水力発電を推進しているが、電力需要の大きな大都市には向かなくなってきた。

風力エネルギー :無尽蔵な資源だが、安定供給のための設置場所が限られる。

バイオマスエネルギー :木材、家畜の糞、生ごみなどを発酵させて発生するメタンガスなどを利用して発電、熱も地域暖房などに利用。

太陽エネルギー :効率が悪く大規模発電は難しいが、補助的小規模用途に有効

地熱エネルギー :火山からの水蒸気ガスを利用した発電がフィリピンやニュージーランドで広く利用されているが、火山国に限られる

⇒いずれの自然エネルギーも現状の石油や原子力のような大規模なエネルギー供給は不可能で、小規模で地域的なエネルギー供給に限られる。

  • 未来のエネルギー(開発中)
  • 宇宙太陽光利用: 宇宙空間の静止軌道上で太陽光を集め、その光をマイクロ波あるいはレーザー光線に変換し、地上もしくは海上に設置した受電施設に送り、電気や水素を作って利用するシステム。 2030年頃の実用化を目指す。
  • 核融合発電: 核融合とは、二つの原子核を衝突させてくっつける(融合させる)ことであり、太陽で常に起きている現象である。 核融合が起こる際にエネルギーが発生し、このエネルギーを発電に利用するが、装置が1億度の高温に耐える必要がある。 原料は海水に無尽蔵にある重水素であるため、原料の心配はない。
  • 水素: 水素は、無色、無臭であり地球上で最も軽い気体である。 燃えやすい性質ではあるが、水素だけでは発火せず、空気(酸素)と混ざると着火する。 着火濃度は幅広く、4%~75%で、酸素1、水素2の割合で混合したときが最も激しく燃焼する。 燃えると水のみができ、有害なガスは発生しないという利点があり、個人や小さな集団での小型発電の可能性がある。 燃料電池は水の電気分解の逆の、水素と酸素の反応を利用する。 原料の水素は水の電気分解でえるので、元の発電装置は必要である。
  • 蓄電池: リチウムイオン電池がモバイル機器で有用とされているが、欠点は液体を使用しており、高温での使用が不向きで高価でもある。 鉛電池が自動車の起動バッテリーに使われており歴史も長いが、寿命が短い。 ニッケル水素電池ハイブリッドカー等に使われているが、寿命が6-7年で、放電が大きい。 全個体電池の開発が進んでおり、2025ごろには実用化されるだろう。 当面は電気自動車であるが、拡大されればコストも低減され、安全性も高いので、家庭用蓄電池や、地域発電用の蓄電池としても汎用性が高いと想定されている。