CIE2000色差計算をエクセルで その1

仕事の関係で、「測色」を勉強し、昔の電子計算機の技術言語「FORTRAN」やパソコン初期の技術計算用言語「BASIC」を、ほぼ独学で習得しました。ですから、計算式を紹介されると、直ぐにプログラム化を考えます。現代では、「エクセル」で計算を考えてしまいます。

「測色」のなかでは、2点の色の差(色差)をどのように計算し、表現するか、その数値は人間の感覚とどういった関係にあるのか、という事は重要になります。例をあげましょう。講堂に中学生が制服を着て1年生、2年生、3年生と集まりましたが、全体的に1年と3年生に囲まれた2年の制服の色が何となく違う感じがする、という場合があったとします。「色差」2NBS単位ぐらいになると、違いを感じます。同じく制服の上下になんとなく色差を感じた場合は数値で言うと1NBSぐらいです。制服の縫い合わせた左右で色差を感じると0.5NBSというように、数値化して表しています。商業的な取引でも、色差を感じないように細かい数値を決めています。勿論大まかな色調表現でも良い分野もありますが、人間の感じる色の差を、正確に表現できることは重要であろう事は想像してもらえるでしょう。

「色」を数値で表現する技術は20世紀から急速に進歩し、特に電算機の発展で画期的に進展しました。ところが、人間の感覚に近い「色差」の表現法に至るまで、100年近い時間がかかりました。日本の多くの企業に電算機が導入され始めた1980代は、CIE1976の式が代表で、未だにCIE1976Lab式が中心の業界もあるようです。CIE=国際照明委員会 

「色」を中心に扱う代表的な業界は繊維関係です。イギリスのある繊維加工会社が、数十色を定番加工していましたが、CIE1976で色差を表現すると、「色」毎に合格数値を決めておかないと、不都合であると。すなわち、CIE1976では「色差」が人間の感覚と一致していないという事です。1980頃に染料・繊維関係の組織SDCからCMC式が紹介され、この欠点がほぼ解決しました。そして、約20年ついにCIE2000式が発表され、人間の感覚に近い式であるとされ、少しづつ各種業界に広まろうとしています。因みに、色差式を点数で表現すると、CIE1976は75点、CMCは95点、CIE2000は98点と評価されています。

所が、CIE2000は下表のように難解な式で、公表された計算ソフトを見かけませんでしたが、色差計算器として、「デジタル小屋」(http://plki.sakura.ne.jp/lab2000/)がありました。計算を実行してみると、文献で紹介されている値にはならないので、どこかに間違いがあると思われます。使用される場合は注意下さい。

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色をつけたところ大きく違います。

次回(5月20頃)は、CIE2000とCMC計算をエクセルで紹介します。

CIE2000式の詳細

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