測色の話 1-5 光源について

1-5  光源の種類                

 お店で買った品物などの色が、店の外に出て太陽や蛍光灯の下で、色を確認すると、思った色と違う事を経験した事があるだろう。 これは、光源の種類が原因である。自然光源は、場所や時間などでも太陽光はことなるのだが、これを「光源の温度」で分類する。 図-9の「光源温度による分光分布」で示されるように、温度が低い場合は、長波長側のエネルギーが高く、赤味の光となる。いわゆる夕焼けの光である。高温の光は、青味の強い光となり、南国の直射日光に近いイメージの光を想像して欲しい。ここで注意して欲しいのは、「波長=555nm(ナノメータ)」のエネルギーの強さを1として、相対的に表したものであり、光量とは違う。光量で言えば、夕焼け時は小さく、直射日光は大きく明るいと言える。しかし、光量の要素を加えると、「光の種類」は無限の条件になり、555nmを基準として表す習わしがある。又、自然光に加え、人工光源が種々開発され、淘汰されている。例えば、エジソンが発明したタングステン電球(白熱電球)は、1879年に発明されたが、今では日本国内での生産は中止され、蛍光灯やLED灯に代わっています。古い話になりますが、CIE(国際照明委員会)は1931年に 

A光源:白熱電球  

B光源:白熱電球にフィルターを付け直射光相当の光源 

C光源:B光源にさらにフィルターを付け間接光 

に近い光源を設定しました。すなわち、実存する光源として色を評価する場合の基本光源となりました。1967年CIEにて制定された現在の標準光源D65は、実存の光源はなく、シュミレーションされた疑似光源です。D65光源は北欧における平均的な正午の光(直射日光と晴天の空による拡散光の合わさった光)に対応しており、昼光光源とも呼ばれている。D65は6500K(ケルビン)の黒体が発する光波長に相当しており、古いC光源とも近似している。 図-10に、代表光源の分光分布を示した。

A,B,C,D光源とくればE光源、F光源は?となるが、E光源はドイツが推奨していたが、資料が見当たらない。記憶では、計算が容易なように、直線的な分光分布を持つ計算のための光源と記憶している。アメリカがC光源を主体にとりあつかっていたので、第2次世界大戦前にドイツ、日本が中心となって勧めていたと聞いたことがあり、科学の世界も政治が影響する時代があった。

F光源はFL光源として蛍光灯につけられており、その種類は数多い。JIS Z8722では、FL2、FL6、FL7、FL8、FL10、FL11、FL3.15が表示されている。詳しくは紹介しないが、FL1-FL6は「標準」蛍光灯、FL7-FL9は「広帯域」蛍光灯、FL10-FL12は「狭帯域」蛍光灯である。

標準光源以外の演色性を調べる場合には、A光源とFL2光源(冷白色蛍光灯 4150K)を使っていました。

まだ、LED灯について多くは調べていないが、図-11に「一般的な白色LEDの分光分布」を示した。高演色性LEDが販売されている事から、分光分布は調整されているとおもわれます。多分G光源とかL光源とかになり、その内定義されると思います。

尚、光源の分光分布が判ると、人間の標準的視感強度と合わせ、重価係数を決めることができ、光源毎の三刺激値を求める事ができますが、LEDによる計算については経験がありませんが、FL光源と同じように分類されるでしょう。

次回は表色系の話です。

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